下総精神医療センター

看護なう

『訪問のジレンマ』

令和4年5月2日
しもやぎ訪問看護ステーション 看護師長 江幡 節子

「こんにちは!(しもやぎ訪問看護です)」

私たちが訪問に伺ったときに、インターホンに向かって「しもやぎ」を名乗るケースは限られています。訪問カーにもステッカーなど、ステーション名がわかるものは貼っていません。身に着ける名札ケースも、ご自宅の中に入ってから提示しています。なぜ他の訪問看護ステーションのように社名(?)を出していないのか。それは社会で生活する利用者への配慮です。残念なことに未だ精神障害者への偏見や差別が存在しており、社会で生活する利用者は周囲に知られないように気を使っている方が多くいらしゃいます。私たちが訪問することで精神科の訪問看護を受けていることが周囲にばれてしまう、そう心配される方もいらっしゃいます。その状況を理解し、利用者が不安に感じないよう私たちはあえて名乗らないのです。

利用者の中には自宅から外へ出られない方がいます。買い物に不安を感じている方もいます。そのような方と限られた訪問時間ですが一緒に散歩や買い物に行くことがあります。私たちの服装は白衣ではなく普段着に近い服装ですので、一緒に歩いていても目立たないように配慮はしていますが、コロナの感染防止のためフェイスシールドを着けなければならず、そこだけは一般の方と異なってしまいます。訪問することで利用者に感染させてしまうかもしれないリスクと、私たちが感染してしまうリスク、訪問しなければ食料も買いに行けず生活に困窮してしまう利用者への支援など様々な思いの中、感染防止対策を実施しながら日々活動を続けています。

ここ数年で訪問看護の利用者は着実に増えてきています。昨年度の利用登録者数は200名を超え、年間訪問総数は6,200回を超えました。利用者が増えても、お一人お一人の事情に配慮しながら安心して訪問看護が利用できるように、訪問看護をお願いしてよかったと思っていただけるように、スタッフ一同務めていきたいと思っています。


「今日はお天気がいいので、一緒に外へ出てみませんか」

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