令和5年8月
反復行動治療専門病棟 副看護師長 石﨑 実
先日、仕事から帰ると「パパ!手紙書いたよ!読んで!」と長男が言ってきました。その瞬間、いつものようにウルトラマンやカービィを描いたとされる了解不可能な絵を見せられるのかと思ったものですが。渡されたのは父の日の手紙でした。「いつもおしごとおつかれさま。ありがとう。」と書かれており、目頭が熱くなってしまいました。
そんな長男ですが、療育(発達支援)へ月に2回通っています。きっかけは保育園の先生からの指摘でした。集団行動が苦手なようだとのこと…。自宅では、そんな様子はなかったので、初めは妻と一緒に首をかしげました。が。こっそりと隠れて、保育園での様子を観察していると、他のお友達が先生の話を座って聞いているなか、元気に騒ぎまくっている長男がいたのでした。oh…。
自宅では、長男がパパやママを相手に1対1でお話しする時間はたくさんあり、いつでも自分の話を聞いてもらえるし、話を聞くことにも集中ができます。しかし、保育園では長男は大勢の中の1人。自宅と異なる環境に置かれたことで、集団行動が苦手かもしれないと評価できたわけです。
テレビ、本、ネットと色々なメディアで、発達障害の色々な情報が発信されています。発達達障害のこどもの数は、2006年に7000人に満たなかったそうです。2020年の報告では、9万人を超えているそうです。14年間で13倍も発達障害のこどもが増えたのです。色々な情報が拡散しているのは、それだけ情報を欲する人が増えたのかもしれません。
発達障害は、脳の「非定型発達」と言われています。いろいろな情報が発信されている反面、その情報にどっぷりと当てはめてしまうのは、どうなんだろうかと考えることがあります。目の前にいるこどもの発達の仕方は、その子の個性なので。
色々なことを体験させて、何が楽しかったのかな、何が嫌だったかな、何が思い出になったかな、本当はどんな風にしたかったのかなと本人の目線になって、色々考えながら、彼の特性や長所を引き出していきたいなと思います。
そうそう。父の日の手紙作戦が大成功した長男。味を占めたんですかね。毎日、同じ内容で手紙を書いてきます。これはこれで困りますね…。。