下総精神医療センター

第十回薬物乱用対策研修会 参加者募集のご案内

第十回薬物乱用対策研修会開催にあたって

薬物乱用対策は関係機関がそれぞれの機能を発揮し、欠点を補い合う連携体系を組んで進めるべきです。しかし、現在はまだ連携体系が成立していません。

社会の大きな問題でもある薬物乱用の根源は、ヒトが薬物摂取を反復すると生じるようになる欲求です。当院は平成18年から条件反射制御法を用いて対応し、研究を進め、欲求が生じるメカニズムを把握し、欲求を消せるようになりました。薬物摂取は始めの内は意識的な中枢が司りますが、薬物摂取を反復する内に、無意識的な中枢が反射でその行動を司るようになります。その反射の作動を制御することで欲求は消去できます。その技法は精神科医療やその周辺機関だけでなく、刑事司法体系の機関においても利用できます。

一方で、意識的な脳に対しては、それが計画的に行動を司ることから、薬物摂取に対して刑罰で対応する制度は強い抑止力を持ちます。その抑止力を生む刑事司法体系の厳正な態勢は保たれるべきです。その抑止力を、当院は、援助的な態勢を崩さないように利用し、薬物乱用者の回復を支えています。

薬物乱用問題を収束させるためには、法による抑止力と治療や訓練を等しく重要であると位置づけ、相互補完的に連携する体制を整備しなければなりません。取締処分側と援助側の機能は正反対であるからこそ、互いを補い合うことが可能です。それらの2つの領域が効果的に連携する方法を当院は構想し、また、その構想の一部を関係機関の協力を得て、小規模ではありますが、現場で展開しています。その連携体系の構想と現場への展開法が、いずれ、我が国の政策として導入され、広く用いられることを目指しています。

講義の中では、取締機関や生活訓練をする施設等と当院のこれまでの連携の経験、並びに現在の対応等を紹介します。また、この先の課題と薬物問題に対応するために必要な変化の方向をお伝えします。連携を発展させる各専門職の役割と実践方法に関して理解を深めていただけるはずです。

皆様のご参加をお待ちしております。

平成30年6月29日
各 位

独立行政法人国立病院機構 下総精神医療センター
院長 女屋 光基
薬物依存治療部長 平井 愼二

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