下総精神医療センター

研修情報

第四回薬物乱用対策研修会 > 研修会プログラム > 第7講義

社会復帰施設の活動と周辺機関の関係

千葉ダルク
施設長 白川雄一郎

 ダルクも昨年度2012年で創設27周年を迎え、今日現在、全国約70か所で活動をしている。約27年前の設立当初から米国のアルコール依存症からの回復のための当事者による自助グループAAを基とする12ステップ・プログラムとグループ・セラピー(ミーティング)をほぼ唯一のプログラムとしてきた。その位置づけも医療・矯正施設と社会との中間施設であり、その運営もほとんどが当事者の常勤職員によっておこなわれていた。その設立当初の周辺機関との関係も薬物依存症からの回復施設としての役割に限定されるものでひとつは医療機関との関係、もうひとつは地域の福祉事務所との関係が主であった。医療機関とはダルク利用者の通院診療と入院治療での関りと精神科医療機関に入院中のクライアントの退院後の行き場としての関わり。福祉事務所とはダルクの利用費用を本人もしくはその家族が負担できない場合、本人に生活保護受給者になってもらうというケースでの関りとそれとは逆に福祉事務所から行き場のない薬物依存症者や、すぐには単独での居宅生活が困難な対象者の紹介での関りである。
 しかし、設立以来のこの約27年の間に、我が国でほぼ唯一の薬物依存症からの民間の回復施設であるという性格上、また、周辺機関からの要請もあり、いわば、本来の薬物依存症からの回復のための自助的な回復施設としての活動や役割とは変質した、さまざまな機関との多種多様な関わりや連携が生まれてきている。
千葉ダルクも今年で開設十年目にはいったが、これまでの下総精神医療センターとの連携の中で医療機関とのお互いの役割が大分整理されてきた。
 ダルクは社会復帰のための生活訓練、段階をふんでの就労・自立、社会復帰後も薬物を使わない生活を維持するための自助グループへの橋渡し、そして退寮後もダルクでの居場所や所属感を維持してもらうこと。
  医療機関の役割は薬物のデトックスや離脱、薬物起因の精神障害の軽減であろう。
 現在、病棟内で行われている条件反射制御法については2010年4月より千葉ダルクの責任者が毎週月曜日その作業に研究補助員として立ち会い、また自らもその抑制療法を経験することで、その効果と作業手順を十分に理解した後、当センターでこの治療をおこなってきたクライアントのダルク内での維持作業をはじめたところで、今後も連携しているダルクではおこなう予定である。
  また無限大連携のなかのダルクのような援助機関での尿検査の実施は、施設の雰囲気づくり、対外的なアピール、それと入寮期間中の規制薬物の使用者の処遇に選択の幅をもたせられる等の理由で有用であると考えている。

 一方で、対象が規制薬物に限られるという点での利用者間での不公平感や継続していく際の費用の支出の問題などの課題もある。





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