研修情報
第九回薬物乱用対策研修会 > 研修会プログラム > 第11講義
生活保護を受ける薬物乱用者に対する仮想処遇
下総精神医療センター
薬物依存治療部長 平井愼二
研修当日は、この事例を使いロールプレイを行います。
事例1:40歳 男性 覚醒剤使用障害 覚せい剤精神病
日本の高校を卒業後、外国の大学英語科に入学した。しかし、2年で中退し、日本に帰った。帰国後はゲームソフトの開発等に関わり、生活は経済的に自立していた。
37歳から覚せい剤を使い始めた。最初は炙りで使い、1ヶ月後には静脈注射で使い始めた。40歳になって覚せい剤を使用する頻度が高まり、就労が不規則になった。数週間、就労をせず、覚せい剤を使い、幻覚妄想を体験するようになった。
覚せい剤をやめなければならないと思い、警察へ出頭し逮捕された。勾留中に精神病性障害は消褪した。警察職員と面接し、覚せい剤を止める自信がない事を伝えると、回復支援施設入寮を勧められ、本人も入寮を希望した。しかし釈放の日に回復支援施設の都合がつかず、下総精神医療センターへ受診し、入院治療を開始した。
入院中、条件反射制御法を受け、当初は強烈な反応が生じたが、真面目に作業を行い、欲求は良好に抑制された。父親は他県にいたが、来訪し、患者を勇気づけた。
退院後の生活について本人は「できるなら単身で生活したい。親には迷惑をかけたくないので、生活保護を受けたい」と言う。
1)推奨される生活の場
2)望ましい経済支援
事例2:25歳 男性 薬物中毒性精神病
両親は本人が小学校低学年の頃に離婚した。高校は2年で中退し、アルバイトで収入を得ることもあったが、バイト先の上司や先輩との人間関係が上手くいかないことを理由に辞めてしまい、その後も同様に、アルバイトを開始するが長続きせず、転々とした。19歳時からは全く仕事をせず、母親の収入に頼り、遊興する生活になった。
23歳時に友人に勧められて危検ドラッグを使用しはじめた。
25歳時、自室にこもり、食事も摂らない事が多くなり、異変を感じた母親が本人を連れ、当院を受診し、入院治療を開始した。
家計は厳しく、入院中に生活保護を申請し、保護の対象となった。
入院中、条件反射制御法を受け、当初は強烈な反応が生じたが、真面目に作業を行い、欲求は良好に抑制された。
本人は「もう危険ドラッグはやらないし、退院したら仕事できるので単身で生活したい。保護費で部屋を借りてもらう」と話す。
1)推奨される生活の場
2)望ましい経済支援